依頼を果たした翌朝。
「ありがとうございました。」
 にこにこ微笑むアンソニーがリナに金貨のつまった袋を手渡した。
「色々、心理的負担をお掛けしてしまったので、色をつけてます。」
 にこりとガウリイに向かってアンソニーは言った。
かぁああああああ
 リナの頬が赤くなる。
「あ、アンソニーさん・・・・・。」
 真っ赤に染まったリナをアンソニーは優しい目で見詰めた。
「本当に可愛いですね、リナさんは・・・・、オトしてしまえばよかったかな?」
「ぅえええっ!?」
「やらんぞ。」
 アンソニーの言葉に目を丸くするリナと、低い声で牽制するガウリイ。
うぷぷぷっ
 アンソニーはふきだした。
「あはははは、僕もそんなに命知らずじゃないですよ。」
 思いっきり笑われて、真っ赤になるリナとまだ警戒の色を消さないガウリイと見やって、アンソニーは笑いを治めた。
 ふと真剣な表情を浮かべる。
「可愛い女性も綺麗な女性も大好きで、服を考えるのが好きだったんですけど。貴方たちを見てると、たった一人の人を探すのもいいかな、と思いました。」
 アンソニーは真っ直ぐにリナを見詰めた。
「それが、リナさんじゃないのが、少し残念です。」
 リナが目を見開き、それから微笑んだ。
「ありがと。」
 微笑む顔は少女の清しさと女の艶とを矛盾なく湛えていて、鮮烈であった。
 眩しそうにアンソニーは目を細め、嫌そうな顔をしていながらも、リナに見とれているガウリイに笑いかけた。
「逃がさないように。」
「言われなくても。」
 ガウリイが苦笑を浮かべた。
 男同士の視線のやりとりとリナは見つめ、軽く肩を竦めると、身を翻した。
「じゃあね、アンソニーさん。デート楽しかったわ。」
 肩越しに明るく笑ってリナがウィンクひとつ残す。
「行くわよ、ガウリイ。」
 そのまま真っ直ぐに歩き出すリナをガウリイが慌てて追う。
「待てよ、リナ。」
 歩み去る2人を姿が見えなくなるまで、アンソニーはずっと見送っていた。


「なぁ、リナよ。」
 少し歩を早めてガウリイはリナの横に並んだ。
「何?」
 リナが首を傾げる。
「アンソニーとのデート、楽しかったのか?」
「うん。」
 即座に肯定されて、ガウリイの眉間に皴が寄った。
 それをリナはにやにやと見やる。
「アンソニーさん、女扱いしてくれたし、何より美味しいもの奢ってくれたし・・・。」
「食い気かよ。」
 やや呆れたようにガウリイが笑う。
「それにねぇ・・・。」
 リナの頬が染まった。
「あんたが、嫉妬してくれから・・・。」
 語尾は消えそうな程小声になったが、性能のいいガウリイの耳にははっきりと届いた。
 ガウリイの目が優しく細まる。
「リナ。」
「あによ?」
 照れて真っ赤になり、ちょっと怒った風に睨む顔にガウリイは満面の笑みを向けた。
「また、デートしような。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・気が向いたらね。」
 昨日までより少し近い距離で、2人は町を後にした。



 これにて一件落着。円く収まりました。(2005 3/5)